Home > Arquitetura - 建築 > とある郊外で理想の家に出会う

とある郊外で理想の家に出会う

  • 2010.04.09 06:10 AM

今日のサンパウロは気温13度まで下がりました。
いよいよ、秋突入です・・・。

さて、今回は建物探訪inサンパウロということで、
先週末にお邪魔した建築家P氏が手がけた自邸(作品名:14bis)をご紹介しましょう。
旦那様がイタリア系ブラジル人で大学で教鞭をとるプロフェッサーアーキテクト、
奥様が日系の方でデザインプロデュース会社のオーナーというご家族構成です。

100407_top.jpg

サンパウロ市から250kmほどのところにあるBotucatu市近郊にある
Vila Ecologica(環境共生型コミュニティ)の中にその住宅はあります。

100407_01.jpg

周囲は見渡す限り、赤土と緑。
あいにくの天気だったのが残念でしたが、大都会サンパウロの喧騒から離れ、
鳥や虫の鳴き声や木々のざわめきしか聞こえない心地よい静寂がそこにはありました。

100407_02.jpg

土地が広すぎてどこからどこまでが区画なのかわかりませんが、
この赤いドラム缶が14bisへのエントランスです。

100407_03.jpg

このコミュニティは一応中へは誰でも入って来られるわけではないので、
高い塀や有刺鉄線は必要ないのですが、14bisにはひざ高さ程度の門がありました。

この高さがまた絶妙です。
普段は開けているそうですが、閉めたとしても完全に遮るわけでもなく誰でも勝手に入れるわけでもなく、
そのさりげなさが素敵です。

100407_04.jpg

建物のファサードです。
1Fは補強CB造、2Fはブラジルではまだまだ少ない木造です。
間取りはほぼシンメトリーですが、外観には色々な素材が大胆に使われています。
大部分をP氏ご自身で施工されているようです。どおりで素材の組み合わせのセンスがいいわけです。
内部は後ほど紹介しますが、2Fの両側の白い部分が2つの寝室と書斎、
1Fの石の部分が2つのゲストルームとして使われており、
真ん中のガラス部分がそれつなぐ中廊下的な中間領域になっています。

では、近くによってみましょう。

100407_05.jpg

雨が降っていましたが、軒が深くて雨を防ぐには十分なスペース。
その軒深さによって白い外壁に雨が降りかかることがほとんどなく、あまり汚れていません。

100407_06.jpg

1F桁部分の石は、近郊でよく採れる石材だそうです。(名前は忘れてしまいました・・・。)
施工中に急遽デザインを変更した部分が所々にあって、これぞセルフビルドならではでいい感じす。

100407_07.jpg

犬走りの部分は、どことなく日本の縁側的な感じがします。
紫陽花が似合いそうな犬走りです。

右側の石垣は軒外にあるため雨に濡れて黒く変色していますが、
濡れていない部分との色の違いも楽しめますね。

100407_08.jpg

ファサードの前には池があります。これもP氏によるもの。
穴を掘って防水シートを敷き詰め、地場の石材を粉砕して混ぜたセメントで成型したという力作です。
ベンチもいい感じです。

100407_09.jpg

外倒しタイプの雨戸が素敵です。

100407_10.jpg

いやー、いい眺めです。これで天気が良かったら最高だったんだけどな・・・。

前面のたくましすぎる周辺の緑たちは造成工事後に植えられた物ではなく、
自生してきたものだというから驚きです。
ブラジルでは草食系ですら日本の肉食系以上の迫力です。

100407_11.jpg

住宅の裏側にある小さな農園。当たり前のようにネギが植えてありました。

100407_11_5.jpg

そこには生ゴミを堆肥化する装置もありました。これももちろんP氏の手作り。

熟成用の箱が数箱あり、廃棄した時期によって使い分けるそうです。
早ければ1ヶ月前後で堆肥として使えるようになるとか。
堆肥もワインと同じで何年ものとかで値段が変わってくるのでしょうか。。

植物が芽から育っていくのと同様に、ゴミが少しずつ大地に返っていく経緯を日々眺めるというのも
乙かもしれません。

100407_11_51.jpg

ガチョウさんもいらっしゃいます。
まさかガチョウ鍋か?と思いましたが、それ論外。
卵すら1度しか食べたことないそうです。

100407_12.jpg

草原のようななだらかな傾斜地にある14bis。
ライトのプレーリースタイル並みの広い庇を取りたくなるのも分かります。
ちなみに、現在住宅裏側にP氏の事務所を建設中です。
半地下で屋根は竹で作るのだとか!面白そうな空間になりそうです。

100407_13.jpg

では、玄関に向かいましょう。
玄関は住宅横の犬走りを歩いて回り込んだ背面にあります。

暗くなりがちな背面ですが、赤と黄の原色を入れることによってわくわくする歩廊になってます。
デ・ステイルな色使いと言いたいところですが、青を入れないところがP氏のこだわり!
写真奥の飛び出している物体は、排気装置のダクトです。

100407_14.jpg

玄関を開けると天井高の高いダイニング空間が広がっていて、
内部は3層に分かれていることがすぐわかります。
そう、この14bis内部はスキップフロアだったのです。
(スキップ具合が全然伝わらない写真ですみません・・・。)

こげ茶色の梁と柱がいいアクセントになってますね。
ブラジルでよく使われるユーカリの木材を使っています。

100407_15.jpg

一番上(3層目)の中廊下から書斎を眺めます。3層目は土足厳禁。笑
中廊下といっても2mほど幅があるので、お酒大好きなP氏は、
このスペースに3種類のバースペースを作ってしまいました。

そのひとつ、右側にあるのがアメリカ式とおっしゃっていた高めの椅子に腰掛けて飲むスペース。
そして右側窓の先にはブラジル式でお酒が飲めるテラスがあります。
着いて早々、極上のカシャッサ(ブラジルのサトウキビのお酒)を頂きました。

書斎との間仕切り(茶色の間仕切り)、ぱっと見では木に見えますが、
実は皮を市松式に重ねて作ってある非常に繊細な建具です。

100407_16.jpg

中廊下から寝室側を眺めます。
左側に見えるのが和式のバースペース。ござにちゃぶ台が置いてあります。
くすんだ色の手すりも飾らなくて心地良いです。

100407_17.jpg

書斎部分です。P氏の机は製図板が2枚置いてありました。
本棚にはポルトガル語はもちろん、ドイツ語、フランス語、そして日本語の書籍もたくさん置いてあり、
P氏の教養深い話はここから来るのかと納得。
身近なところだと「建築MAP東京」もありました。

100407_18.jpg

1Fからダイニング部分を見上げています。
ブラジルではキッチンの上に排気装置をつけないことが多いのですが、
P氏は天井高の高いダイニングキッチンを作るために、オリジナルで設置されています。

100407_19.jpg

1F土足部分の中廊下です。
我々の荷物が置いてあって汚いですが、、、。

気になるのは真ん中の丸い蓋のような部分。
実はこれ、韓国式の床暖房装置で、中に薪を入れて暖めれば2Fのダイニングの床が温まるという装置です。

が、どうもまだうまく機能しないらしく、要スタディだとおっしゃっていました。
・・・ピザ焼きたいス。

ブラジルで暖房?と思っているそこのあなた!
僕もリオに住んでいた時は、年中半袖+腿上までの半パンで過ごしてたので、そう思っていましたが、、
実はサンパウロはじめ、南の方は寒いのですよ・・・。。嗚呼、お風呂入りたい。

100407_20.jpg

1Fと2Fの間仕切り。外部からの視線を防ぎます。
先ほどの皮製の間仕切りをはじめ、建具や小物に関しては、奥様のアイデアがかなりあるとか。
ハードな建築的なデザインはP氏が手がけ、建具やしつらえ的な部分は奥様が手がける。

うーむ。改めて理想的な家ですなぁ・・・。

100407_21.jpg

ダイニングキッチンを眺めます。
ただいま夕飯のイワシ入りトマトパスタを製作中~。
昼ご飯に奥様が焼いてくれた豚肉の腰肉も最高に美味でした!

キッチンの照明の位置もすごく参考になります。
料理をする際、たしかに手元は蛍光色で明るく照らしてくれるほうがいいですよね。

100407_24.jpg

コミュニティ内にある、その名も"Bio Loja"(LojaはShopの意味)。
有機野菜や無農薬食品、無添加洗剤など、体に優しい物ばかりを扱ったお店です。
手作りのケーキやコーヒーなども売っていました。

100407_23.jpg

普通のスーパーで売っている野菜に比べて2割くらい割高ですが、
ここで売られていた野菜は思い思いの形をしていて、泥もついていて美味しそうでした。

100407_0000.jpg

日本で環境共生型コミュニティというと、自然エネルギーの利用から食べ物に至るまで、
徹底的に環境負荷のかからないものだけを利用するという先入観があって「神経質だなぁ」と思ってしまいますが、
ここのVilaは自然を愛し、自分のスタイルで適度にロハスな生活を送っている人々が暮らすコミュニティなんだろうなぁ
という印象を受けました。


今回はたった1日だけしかいられなかったのが残念ですが、
次回はもうちょっと滞在させて頂きたいものです!
事務所建設の肉体労働で雇ってもらえないだろうか・・・。肉体奉仕しますよ、P氏。笑


********
さて、最後に"14BIS"というこの家の作品名。気になります。
BIS(ブラジルのビックリマンチョコのようなもの)が14個!?

100407_25.jpg

・・・実はブラジル人で、飛行機の父と呼ばれるサントス・デュモン氏が
初飛行に成功したときの機体の名前なのです。

P氏のご友人がこの家を見たときにネーミングされたそうです。
言われてみればそう見えなくもありません。笑

Comments:2

chisa 2010.04.14 06:56 PM

ガチガチな現代建築とはまた違ってかといって素朴でもないし。程よいバランス感が絶妙ですね。青い空(想像してみました)と緑とテラコッタ土の自然に、赤と黄色がアクセントになってポップ(古い?)な陽気さが出てて可愛い。「建もの探訪」楽しみにしています!

hayatao 2010.04.30 05:52 PM

>Chisaさん
そーなんです!形だけ見るとモダニズムなんですが、色んな素材が程よいバランスを保っていて、すごーく居心地が良い家なんですよ。
サンパウロのせわしない時間をきれいさっぱり忘れさせてくれるすばらしい家ですよ。自分でこんな家を作るってほんと贅沢だよな~

 (必須)
 (必須)※一般には公開されません。

Trackbacks:0

TrackBack URL for this entry
http://brasildesign.org/re-dekassegui/mt-tb.cgi/38

page top