ドキドキな電気自動車とレルネル氏
- 2011.06.02 01:37 AM
サンパウロもいよいよ冬到来。築40年の低気密のアパートは実に心地がよいです。
さて今日は、ブラジルで以前発表された電気自動車について話しましょう。
日本では電気自動車エリーカの生みの親、清水教授による
キメ過ぎな最先端の電気自動車"SIM-LEI"が今年3月に発表されたばかりですが、
ここブラジルでは一味違った電気自動車が発表されていました。

その名も"Dock Dock"(ポルトガル語発音ではドッキドッキ)。
・・・なんだ、電動スクーターじゃん・・・
という突っ込みは要りません。
デザインしたのは、上の写真でドッキドッキに乗っておられる方。
そう、元パラナ州知事、元国際建築家連合(UIA)会長のジャイメ・レルネル氏です。
レルネル氏については以前のブログでも取り上げてきましたが、久々の登場です。
まるで少年のような笑顔は今でも健在。

そのレルネル氏については後述するとして、このドッキドッキという電気自動車ですが、
完全に一人乗り用に設計され、その大きさは全長138cm、全幅60cm、高さ150cmと
一般的なセダン車と比べてもかなり小型です。
さらに、最高速度も25km程度しか出ないようで、
見た目はどことなくウサギのような気もしないでもないですが、速度は亀レベル。みたいな・・・。

↑レルネル氏による構想段階のスケッチ。
肝心の自動車や街の雰囲気よりも、イケイケ風の手前の女性が気になります。
あの少年のような笑顔のレルネル氏は実はこういうタイプが好みだったのか・・・。
ま、それはいいとして、そもそも彼がなぜこの自動車をデザインしたのかと言うと、
サンパウロやリオなどのブラジルの都市圏で、恒常的な問題になっている交通渋滞と大気汚染を
少しでも緩和できないかと言うコンセプトで生み出されたそうです。
電気を使用する事で息苦しい大気汚染を少しでも軽減させ、
また、渋滞を招いている自動車のうち大半が一人で運転していることが多い事から、
スペースを極限に縮めた一人用にしたというのもよくわかります。
でも、ちょっと回りを見渡してみると、こういう発想自体は別に何も新しくもなく、
エコなエネルギーを使ったもので、もっと効率的でスマートなものもあるだろう?
と言われても仕方ないかもしれません。
セグウェイとGMが2009年に開発したこんなものもありました。
PUMA(Personal Urban Mobility and Accessibility)という2人用電気自動車です。
・・・テーマパークのアトラクションから街に出てきてしまった感は拭えませんが。。

しかし!レルネル氏の真のコンセプトは車両自体にあるのではない!んです。

テヘヘ・・・。(byレルネル氏)
ジャイメ・レルネル氏と言えば、ブラジルの環境都市クリチバをゼロから作り上げてきた建築家。

都心から自動車を追い払い、ドーム型プラットフォーム式バス停の採用とバス専用レーンを設ける事で、
公共バスの運用率を格段に飛躍させ、さらにそれに付随する交通網をネットワーク化。
人や環境に優しい、コンパクトな都市を作り上げた第一人者です。
(特にバス専用レーンの考え方はBRT:バス・ラピッド・トランジットと呼ばれ、世界83都市に導入されてます。)
そんなレルネル氏が考える電気自動車です。
単にエコでカッコよければいいというわけにはいきませんね。
彼が考えたこのドッキドッキは、GM+セグウェイのPUMAのように環境に優しい個人用電気自動車ではなく、
地下鉄や電車、バスなどの既存公共交通網を利用しつつ、
その隙間を埋めるべく人々の足の代わりを担う公共交通網の一つとして考え出されたようです。
東京のように公共交通網が張り巡らされた成熟都市ではあまり有効ではないかもしれませんが、
ブラジルや中国をはじめ、新興国ではインフラが不十分である上に、渋滞が大きな社会問題となっており、
たとえばサンパウロでは自動車で500m進むのに1時間かかる渋滞なんていうのはザラですからね。
公共交通網が通っていないところ、たとえば地下鉄の駅とバス停をドックする。
地下鉄の駅と公園をドックする。
そんなかゆいところに手が届くのがドッキドッキということになるのでしょう。
Dock Dockというネーミングもこれ然りですね。
パリのVelibなど、自転車シェアリングは海外の国々でも続々と行われていますが、
自転車に乗れない人や、お年寄りにとってはこのドッキドッキは有効な手段になり得るかもしれません。
レルネル氏がクリチバ市長時代、クリチバの中心部から自動車を排除するために、
たった一夜で政策を実行したのは有名な話ですが、
彼の実行力をもってすれば、ブラジルのどこかの街でドッキドッキが走り回る日が来るのもそう遠くはない!

今日のおまけ。
レルネル氏が最近発表したRua Portátil=ポータブルロード。
彼の発想は、常に小さな物から街、都市に結びつきます。それがすごいところです。
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