オーケストラのネイマールとエル・システマ
- 2011.06.24 01:10 AM
Peixe、中々やるじゃないか。
昨夜はサントスがリベルタドーレス杯(南米クラブ選手権)を制したことで、
サンパウロの街は車のクラクションやサンチスタ(サントスファン)たちの叫び声が明け方ま続きました。
今日はそのサントスについて・・・
なーんて。そんなこと書きませんよ。
ブラジルの古豪がリベルタドーレスを取ったのは素直に嬉しいですが、
わがRubro-negroにとっては敵は敵ですから。
ま、Peixe Grandeじゃなく実力だったことをバルサとの対戦で見せつけて欲しいものです。
そんなサントスの中心選手といえば、先日46億円でレアルへの移籍話が世界中に報道されたNeymar(ネイマール)。
ペレ2世と言われたRobinho(ロビーニョ、現A.C.ミラン)を越え、
ペレ氏本人から「私を越える存在になる可能性がある」と太鼓判を押されている彼。
今では王国セレソンの至宝と言えるでしょう。
今では、ここブラジルで「ネイマール」と言えば、才能に溢れ将来を嘱望された若者の事を指す言葉として
しばしば使われている気がします。
ちょうど日本の○○王子と同じようなノリでしょうか。

今日の話題は、そんなもう一人のネイマール、それもグラウンドではなくオーケストラの指揮台に立つネイマールが
20世紀初頭の名建築Sala Sao Paulo(コンサートホール)でオーケストラの指揮を執る、
というので先週末見に行ってきました。

彼が本日の主役。
"クラシック音楽界の"ネイマールこと、ベネズエラ人のGustavo Dudamel(グスターボ・ドゥダメル)。
イケメンではあるものの、むしろアイマール似で本家とは全然タイプが違うじゃないかと言われそうですが、、、
彼がクラシック界のネイマールと言われる所以は30歳という年齢とその実績、将来性にあります。
18歳にしてベネズエラのシモン・ボリバル・ユース・オーケストラの音楽監督になり、
23歳でマーラー国際指揮者コンクールで優勝。
その後も着々とキャリアを重ね、28歳でロサンゼルス・フィルハーモニックの音楽監督となり、
2010年の大晦日にはベルリン・フィル ジルヴェスター・コンサートを指揮しています。
クラシック音楽界は建築界同様、30歳そこそこの若人はまだヒヨコも同然のようですが、
彼はクラシックファンの間ではその名を知らない人はいないようで、
今後のクラシック音楽界をしょって立つ若手の一人ということだったのです。
そんなに有名人だったとは露知らず、以前本で読んだEl Sistema(エル・システマ)という、
ベネズエラの青少年の非行防止や貧困家庭の子供たちの更生と教育を目的に生み出された
音楽教育制度の出身者であることを知り、どうしても見たくなって身分不相応な大枚をはたいて
チケットを購入しました。

今回彼が率いたのは、
Orquestra Simon Bolívar da Venezuela(シモン・ボリバル・オーケストラ・ベネズエラ)。
エル・システマによるベネズエラ国内の数ある青少年オーケストラの選抜組とのことで、みんな若い!
で、今日の演奏(マーラー交響曲7番)はどうだったかというと、
マーラーは今までほとんど聴いたことがなかったのでよくわかりませんでした・・・。涙
っていうか、初のブラジル公演にしては選曲が硬派すぎやしないか?というのが正直なところでした。。
残念だったのは、アンコールでグスターボ氏の名曲マンボを期待していたのですが、
結局会場からの鳴り止まない拍手に何度も何度も答えるだけで、演奏してくれませんでした。。
それが唯一の心残りでしたが、
フォーマルなクラシックを演奏しつつも、楽器だけではその表現がおさえきれず、
体がカクカク、ユラユラ、よく動いていた若いオーケストラメンバーたちの演奏は見ていて楽しいものでした。

このシモン・ボリバル・オーケストラ・ベネズエラについて調べてみたら、
日本にも2008年に来日していたようですね。
その際演奏されたマンボ↓
こんな演奏をブラジルでやったら会場内総立ちで大盛り上がりだろうなぁ・・・。
ところで、今回の指揮者のグスターボ氏のみならず、17歳という史上最年少でベルリンフィルに入団した
コントラバス奏者Edicson Ruiz(エヂソン・ルイス)などを育てたエル・システマという音楽教育制度について、
日本では音楽で貧困を救うベネズエラの社会政策として紹介されているようですが、
エル・システマ発案者のJosé Antonio Abreu(ホセ・アントニオ・アブレウ)氏によると、
「当初は単純に音楽教育をベネズエラ国内で広めたかったのと、子供たちが音楽で仕事を得たり、
子供たち同士で一緒に演奏する環境を作り出したかったから」とあるインタビューに答えています。

そうして結成されたのが今から36年前の1975年。
結成して数年後国の財団になり、以来、国家予算と寄付で運営されているようですが、
アブレウ氏は昨今の日本で流行の社会起業家の先駆者ともいえますね。
このシステムは、他の国々でも数多く取り入れられており、
南米諸国をはじめ、米国や英国、韓国などでも実践されているようです。
ブラジルでもいくつかの州や市で取り入れられているようですが、
サンパウロ最大のファヴェーラ(不法占拠地区)Vila Heliopolis(ヴィラ・エリオポリス)のコミュニティで
結成されているSinfonica Heliopolis(エリオポリス・シンフォニー)や、
バイア州が政策として進めているNEOJIBA(バイア州青少年オーケストラ音楽隊)などが有名なようです。
殊にこういう社会政策に関しては、南半球の国々は先進的な国が多いと実感します。
それが音楽などの青少年教育にしろ、都市・住宅政策にしろ、
格差があるからこそ培われてきた経験と知恵が詰まってます。
我々日本人は北欧の社会政策ばかりみていないで、もっと"南半球から"も学ばないといけないよなーと思いますよ。
サントスのネイマールからだいぶ話題が飛びましたが、今日はこの辺で・・・。
次回は上のコンサート会場となった名建築Sala Sao Pauloについて書くぞっと。
余談ですが、だいぶ前に日本でもこういうブラジル映画をやってましたね↓
音楽ジャンルは違いますが、リオのファヴェーラに実在するアフロレゲエという
青少年更生を目的とした音楽グループを追ったドキュメントです。
Comments:2
- sonia 2011.06.24 03:23 AM
ごぶさたです!珍しくクラシックの話題なので、つい(笑)
つい先月、日本の指揮者佐渡裕が初めてベルリンフィルでタクトを振るドキュメンタリーをみました。彼は日本では百戦錬磨の中堅ドコロですが、ベルリンフィルは最強&独特のオケで、コンマスの樫本大進(彼も30才くらい)から「団員達はもっと主張してほしいそうですよ」と言われるほど、個性派揃いで難しそうでした。そのオケでジルベスターコンサートを30才で振ったという彼の存在、実は知りませんでした。(最近クラシックあまり熱心じゃなくて)が、イケメン指揮者、大好きです(笑)注目します!音楽を育成するプログラム出身というのも素晴らしいね。
-
Hayatao
2011.06.24 10:55 AM
>Soniaさん
お久しぶりです!はい、珍しくクラシックです。笑
ベルリンフィルは銀河系集団、指揮者は猛獣使いってことになるんですかねー?その点、グスターボ君はライオンヘアーで問題ありません。笑
Trackbacks:0
- TrackBack URL for this entry
- http://brasildesign.org/re-dekassegui/mt-tb.cgi/51